東京サラダボウル 警察通訳人とは
東京サラダボウルの主人公の1人である有木野了(アリキーノ)(松田龍平)の仕事は、中国語(普通語)を専門とする警察通訳人です。
警察通訳人とが捜査・取り調べなどの過程で、警察官が外国人と話をする場合、その間に立って話をする人間のことです。
外国人が関わる事件の捜査・取調べを支援する警察通訳人の需要は近年いっそう高まっている
警視庁に設置されている「通訳センター」には警察通訳人が約60名在籍しており中でも最も通訳件数が多いのは中国語(普通語)である。黒丸「東京サラダボウル -国際事件簿-」第1巻 15/181より
警察通訳人は警察官ではない
有木野了(アリキーノ)は、警視庁教養課通訳センターに所属する通訳人で、身分は警察職員です。警察官ではありません。よって警察官のように警棒や拳銃を携帯することはできません。また事件が発生したときに捜査方針などに口出しすることも一切できません。
なお警察が取調べや捜査などの過程で委託する通訳人には、警察に所属する警察通訳人と民間通訳人がいます。特定の言語の警察通訳人が忙しくて手が空かない場合、捜査関係者は民間通訳人に通訳の依頼をかけるそうです。
東京サラダボウル 警察通訳人の通訳とは
通訳と一口に言っても、その方法は大きく分けて3つあります。1. 同時通訳・2.ウィスパリング・3.逐次通訳です。
1. 同時通訳とは
同時通訳とは話者の言葉を聞いて同時に訳します。話者の意図を大きく変えなければ、正確性よりはスピードを重視して言葉を端折ったりわかりやすい言葉に変えることもあります。同時通訳は設備の整った海外ニュース・国際会議などで使われます。
2. ウィスパリング
ウィスパリングとは「ささやく」という意味があります。通訳者は聞き手の側について話者の言葉をささやきます。手法は同時通訳と似ていますが、大きな機械や設備を使わないため日常生活で最も使われる手法です。
3. 逐次通訳
逐次通訳とは、同時通訳やウィスパリングと違って、言い間違いや言い淀みも含めて話者が話した言葉を全て一字一句そのまま訳すことを言います。
逐次通訳はスピードよりも正確性が重視され、文章の順番を入れ替えることもしてはいけません。言葉に滲む感情やニュアンスなどもできるだけ正確に訳すことになります。
有木野了(アリキーノ)は逐次通訳
警察や検察での取調べ、裁判における法廷通訳を含めて「司法通訳」と言いますが、司法通訳では逐次通訳が必須です。有木野了(アリキーノ)は警察通訳人であるため、仕事での通訳は逐次通訳を採用しています。
「東京サラダボウル-国際捜査事件簿-」からの引用にある通り、有木野了は取調べにおいては意訳をせず、一言一句その通り通訳することを信条としています。
東京サラダボウルに登場する警察通訳人たちが話す言語
「東京サラダボウル」では様々な言語を専門とする警察通訳人たちが登場します。
- 有木野了(アリキーノ)中国語担当
- 清宮百合 ウルドゥー語(パキスタンの公用語)担当
- 今井もみじ ベトナム語担当
他にも名前を持たない登場人物たちの中には英語・ポルトガル語・広東語を専門とする警察通訳人も登場するシーンがあります。
東京サラダボウル —国際捜査事件簿— の原作漫画
黒丸さん原作の「東京サラダボウル —国際捜査事件簿—」は、パルシィコミックスから1巻から5巻まで販売されています。今回紹介した警察通訳人の制度やお仕事の内容についてもコミックスの中で詳しく紹介されています。